ミドリ色。一般的には緑と表記されますが、「翠」とも表記されます。ただしこの漢字
一文字だけ書かれていて「ミドリ」と読むことが出来る人は素敵です。緑色は別名、翠色
(すいしょく)とも呼ばれ、その漢字から連想される翡翠(ヒスイ)の色です。科学的な
定義は500から570ナノメートルの間の光の波長の色のことです。
緑色のカラーイメージはグリーンセラピーという言葉が存在するように安心、安定、調和、
生命力、再生を想起させ、その効果として心や身体の疲れを癒し緊張を緩和させリラックス
させる効果があります。そしてこの緑色なのですがどうやら日本人に太古の時代より馴染み
深い色のようです。天照大御神がお召になられているとされる首飾りは翡翠で出来た勾玉
(まがたま)と言われています。ここでふとした疑問が。勾玉の首飾りをお召になられている
天照大御神というお話なのですが、だれか見たことがある人がいてそれを後世に伝えたの?
という疑問です。そもそも実在されていたの?という疑問ですがあくまで神話の世界のこと
なのでこれは誰もわからないということだと思います。では、だれも見たこともないのに
どうして’’翡翠の首飾りをされている’’ということがまことしやかにいわれているのでしょうか。
こんな新たな疑問が。そもそも翡翠という宝石は地中奥深くのマグマが地中の比較的中
くらい?の地層の中に貫入してきてその熱によって地層の中にある石の成分が変化して
できる変成岩の一種です。さらに「硬玉ジェダイト」と「軟玉ネフライト」の二つに分類され
前者がいわゆる宝石の翡翠として価値のある石です。そしてこの宝石は日本では糸魚川静岡
構造線の通る地域で産出されます。マグマ貫入の作用で地中で形成された翡翠が地殻変動で
地表に押し出され川に流されて古代の日本の人々の目に留まるようになったのは縄文時代。
この糸魚川静岡構造線の走るところの近くの遺跡では翡翠の加工品が出土していますし、
遠く離れた場所でも交易によりもたらされたと考えられた翡翠の宝飾品が同じく見つかって
いるということです。ここからは私の科学的なエビデンスは全く無い主観ですが、当時の
縄文人の人々にとって光る宝石のような特別感というか、わくわくするような綺麗な石は
この翡翠しかなかったのではないか、ということです。よく知られているダイヤモンドは
南アフリカ、ユーラシア大陸、オーストラリアで産出、ルビーはミャンマー、タイ、
モザンビークやマダガスカル等で産出というように当時の縄文人はアクセスのしようが
全くない地域の産物ゆえ、目にすることになるのは近代に入ってからです。
なので「天照大御神」が神話に登場するようになった時代でも最高の宝石は’’翡翠’’であった
はずです。かくして日本を創造し統べる天照大御神は最高級の透明度を誇る大粒の翡翠の勾玉
を首飾りとしてお召になっていたはずであろう、という想像から来ていると思います。
天皇家が代々受け継ぐ三種の神器のうちの一つが翡翠で出来た「八尺瓊勾玉(やさかにの
まがたま)」であることからもやはりそうなのかなと勝手に推測しています。
そしてこの翡翠のような鮮やかなグリーンは使い方ひとつでハッとさせられるような印象を
見る人にあたえます。日本近代文学史に燦然と輝き色褪せることない作品の数々を世に
送り出した三島由紀夫が結成した「盾の会」の軍服は黄褐色の生地をベースに上着は詰襟部分
と袖口のボタンのある部分に、ズボンはサイドのラインに鮮やかな翡翠色が使われています。
白黒写真がメインの時代だったので
カラー写真は少ないのですがこれほど効果的な色使いはないと思ったほどです。
物心つくようになってふと目にした三島由紀夫が着ていたカラー写真の盾の会の制服は
衝撃を受けた記憶があります。デザインはフランス大統領シャルルドゴールの軍服を作った
五十嵐九十九(いがらしつくも)氏。そして今でもこの軍服は美しいと思います。
そして本題のお部屋の色です。一般的にレジャーホテルでは赤色やオレンジといった暖色カラー
を使うのがポピュラーで、オアシスでも暖色カラーのお部屋の割合が多いです。
その中で少数派な色使いをしているのが210号室です。
リラックスもできる中で官能的な要素も取り入れています。
お部屋選びの参考にしていただければ幸いです。