オアシスのそれぞれのお部屋にある椅子の中に世界的な認知度を誇る名作チェアが
あります。そのうちの一つが305号室にある「スワンチェア」です。この椅子は
デンマークのコペンハーゲン出身のアルネ ヤコブセンの傑作デザイン。もともと
この椅子は1958年にヤコブセンがSASロイヤルホテル、現在はラディソンコレクション
ロイヤルホテル、またはラディソンSASロイヤルホテルとも言われているホテルの
新築に当たりあらゆる備品のデザインを依頼されたうちのひとつで、ロビー、ラウンジ
エリア用にデザインされたものです。白鳥が羽を広げたようなフォルムのこの椅子は
彼のキャリアの中でも1,2を争う傑作デザインと評価されています。
家具の著作権、正確には意匠権はこれまで作者の死後25年間保護され、死後25年を
経ると公に帰属する、つまり誰でもコピーして売ってもよし、ということでしたが、
英国で2016年7月から発効した新たな法律により作者の死後70年間、今度は著作権、が
発生するとのこと。英国は当時EUに加盟していたためEU加盟国間でも同様の措置
となっています。英国がEUを脱退してもその法律は残るためほぼほぼヨーロッパ
では今後は2041年まで現在版権を有しているフリッツハンセン社とそのOEM工場
以外は製造ができないことになりました。そんなデンマークが誇る巨匠デザインの
スワンチェアが305号室に置いてあります。ヤコブセンがSASロイヤルホテルで
スワンチェアに座った時の想いはいかがなものだったのでしょうか。そんな
64年前にデザインされた全く同様のスワンチェアに座って過ごすときにふとヤコブセン
に想いを馳せてみるのも趣深いかもしれません。